スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookは、長引く新型コロナウィルス感染症のために東京都と隣接する3県の緊急事態宣言が解けない状態であり、開催が危ぶまれた。しかし有観客としながらも、チームとの接触を避けるなどの対策を講じるなど主催者やチーム、関係者の努力もあり、無事開催となった。
GTNET MOTOR SPORTSは今年もTeam DAISHINとコラボレートし、「DAISHIN GT3 GT-R」でST-Xクラスにフル参戦。今年は2001年全日本GT選手権GT300クラスチャンピオンを大八木信行と共に獲得した青木孝行がチームに復帰。大八木、青木、藤波清斗、大八木龍一郎という4名でシリーズを戦うこととした。
もてぎのロードコースは前半が短いストレートを直角ターンで結んだもので、”ストップ&ゴー”と表現される。またチャレンジングな中間区間を終えると、一気に坂を駆け下りタイトなターンを経て一周を戻ってくるブレーキやタイヤに厳しいサーキット。昨年今回は全9クラスに51台がエントリーした。「DAISHIN GT3 GT-R」の区分されるST-Xクラスは6台(GT-Rが2台、レクサスRC F、アストンマーチン・バンテージ、ポルシェ911、マクラーレン720Sが各1台)がエントリー。「DAISHIN GT3 GT-R」は昨年予選5位から2位表彰台を獲得しており苦手ではないコースだ。
今年はコントロールがピレリからハンコックに変更となり、事前テストでは多くのデータを収集したが、レインタイヤを履くチャンスはなかった。天気予報では決勝日の天気が崩れると報じており、ぶっつけ本番でレインタイヤを履く可能性もあった。
20日は曇り。公式予選はA、Bドライバーのベストタイム合算で争われる。まず14時5分から15分間行われるAドライバー予選で、大八木が1分56秒340で6位につけた。15時5分から10分間のBドライバー予選では、青木が1分49秒959で2位。合算で6位となり決勝レースのグリッドが確定した。
またCドライバー予選では藤波が1分52秒428で4位、Dドライバー予選では龍一郎が1分54秒416で2位につけ、基準タイムをクリアした。
21日は未明から雨模様。すべてのチームがハンコックのレインタイヤを履いたことがないことから、決勝レースの前に15分間のウォームアップ走行が設けられた。この時間帯は雨が小降りであったが、タイヤは予想以上に摩耗。「プッシュした走りでは壊れてしまい1スティント持たないのではないか」と青木は不安を覗かせた。
決勝レースはウォームアップ走行が行われたことにより、当初予定されていた時間より15分遅れの12時にセーフティカー(SC)先導でスタートした。ドライバーは青木。3周完了でSCが隊列から外れるとバトル開始。青木はその周で1台をかわして5位、6周目に4位、7周目に3位に順位を上げると9周目にはトップを奪った。スタート当初は弱い雨だったが、次第に雨量は増したり減ったりとムラのある降り方に。そんなコンディションで青木は、ライバル5台のうち4台がジェントルマンドライバーだったこともあるが、29周目には2位に10秒近い差をつけて独走状態となった。
40周で青木はピットインして大八木に交代。雨量は徐々に増し、ジェントルマンドライバーにとっては非常に難しいコンディションとなった。それでも大八木はコースアウトやスピンを喫しないように慎重にドライブを続けた。ライバル勢はここでプロドライバーを投入したこともあり、大八木はポジションを5位に落としたが、その順位を守って周回を続けた。
レース開始から2時間を過ぎたあたりで雨脚が強まり、スピンを喫する車両が出始めたこともありSCが導入された。しかし8分ほどでSCランは解除となりバトルが再開。65周、ジェントルマンドライバーの最低義務周回時間(5時間の20%)の1時間を経過した時点で大八木はピットインして藤波に交代。ここから藤波がどこまで追い上げるかが注目された。
そしかし藤波に交代して5周目の14時45分に、雨量が増したことで再びSCランとなり、隊列は安全な速度で周回を重ね天候の回復を待った。しかし天候の回復が見込めないために、赤旗が掲出されレースは一時中断。さらに16時の時点でレースは打ち切り成立となった。これから追い上げが期待されたが、開幕戦は5位という結果に終わった。
第2戦は、4月17〜18日にスポーツランドSUGO(宮城県)において、3時間レースとして開催される。
「コース上にいるのが大変なコンディションで、飛び出さないように用心して走った方が良いと思い慎重に走りました。僕はもっと後に乗るのかと思っていたのでちょっと作戦違いになったかも。天気を見間違えたかもしれないけれど、それはしょうがない。今回の経験を生かして次はやりますよ!」
「予選はそこそこのタイムを出せたかなと思います。決勝はトップに立ってからは何とかもたせようとかなりセーブして走りましたが、雨が強くなってからは普通のペースで走れました。ハンコックのレインタイヤはグリップもすごく良く、大雨でも安心して走れると確認できました。今日は残念な結果になりましたが、次のSUGOではしっかりまとめて結果を残したいと思います」
「「このレースウィークは土曜までドライコンディションで走っていたので、決勝は雨が降らなければ良いなと思っていました。大八木選手の走行時間帯はコンディションが一番きつい時になってしまいましたが、チーム全体で最終判断をしたので仕方がないですが、これも次に活かしたいと思います。ただこんなコンディションでも5位で完走できたのは良かったですし、コロナ禍のこの時期にレースが開催でき無事に終われたが良かったのではないかと思います」