2018 Rd.3 富士SUPER TEC 24時間レース    2018年5月31日(木)~6月3日(日)

 ピレリ・スーパー耐久シリーズ2018第3戦は、6月1〜3日に富士スピードウェイ(静岡県)において、国内では10年ぶりとなる24時間レースとして開催。予選2位からスタートしたY’s distraction GTNET GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗/安田裕信/スン・ジェン)は、30kgのハンディウェイトを搭載しながらもペースを守り抜き朝にトップに立つと2位に5周差をつける独走で優勝。ボーナスポイントを加算して再びポイントリーダーに立った。

 

 富士スピードウェイは東京から最も近い国際レーシングコースで、これまでに4回のF1日本グランプリも開催された。1.5kmにも及ぶ長いストレートを持ち前半区間は高速コーナーもありながら、後半セクションは上りのコーナーが連続し、テクニカルな面も持つ。国内の24時間レースが開催されるのは、2008年十勝24時間以来10年ぶりで、富士では実に50年ぶりの開催となった。またこの国内最長の耐久レースでは、通常のレースより多めのボーナスポイントが与えられるため、是が非でも上位でゴールしてシリーズ後半を有利に展開したいものだ。

 

◆公式予選

 入梅を控えた富士は初夏の爽やかな天候に恵まれた。公式予選は1日の午後にA、B、C、Dドライバー別に行われ、A、Bドライバーのベストタイム合算で争われた。しかもA、Bドライバーの枠だけ、10分間のST-X専有走行枠が設けられた。浜野と星野のタイムは30kgのハンディウェイトも影響し3位だったが、トップタイムをマークした#82 Phoenix Racing Asia R8のBドライバーが走路外走行のためにすべてのタイムが抹消。このため#3 ENDLESS GT-Rに続く2位のグリッドが確定した。今回の助っ人ドライバーでありSUPER GTでNISSAN GT-R NISMO GT3をドライブする安田も問題なく基準タイムをクリアし、今回リザーブドライバーとしてチームに合流したスン(孫正)もフリー走行で2番手につけた。なおスンは、英国F3選手権や中国GTシリーズでGT-Rをドライブしていた26歳だ。

 

◆決勝レース

 24時間レースのスタートは2日の15時。朝10時10分から40分間行われたウォームアップ走行では、車両をコースインさせることなく温存。トラブルが出ないよう綿密な車両チェックを行った。決勝レースは気温23℃、路面温度31℃というコンディションで、晴れたり曇ったりの天候となった。スタートを担当した藤波は、ポールスタートの#3 GT-Rに離されることなく最初のスティントを終え、星野、浜野、そして安田へとつなぎ、ピットインのタイミングもありトップに立った。花火が打ち上げられ完全に夜の闇にコースが包まれた20時半に藤波2回目のスティントとなり、ここでは連続スティントを担当。日付の変わる前までトップを守りピットインした。

 

 このレースでは全車、レース開始20時間目(3日11時)までに、メンテナンスタイムと呼ばれる8分間のピット作業を2回義務づけられている。このピット作業で負担のかかりやすいブレーキローターやパッドを交換することで、大きなトラブルを未然に防ごうというルールだった。チームはこのタイミングでブレーキシステムを交換。これで一旦トップを譲る形となった。星野、浜野、安田、そして周囲がうっすらと明るくなりかけた4時過ぎにステアリングはこのレース3回目のドライブとなる藤波へ。

 

 5時40分、トップを周回中の#3 GT-Rがマシントラブルのために緊急ピットインすると、順位は自ずと3位へ上がった。2回連続で連続スティントを担当した藤波から星野へつなぎ7時20分過ぎには2度目のメンテナンスタイムでブレーキを交換。同時にTCRクラス車両との接触で壊れた左フロントフェンダーの修復も行い、8分18秒で交代した浜野をコースへ送り出した。トップ争いをしている#83 アウディ、#81 J-Fly Racing R8との差は同一ラップから4ラップほどの差で、これはライバルのアウディ勢が2回目のメンテナンスタイムを消化する際に逆転できる距離。義務付けられた2度のメンテナンスタイムを消化すると、残りは7時間半。浜野、藤波とつないだ直後の10時半過ぎに、トップを走行していた#83 アウディが2度目のメンテナンスタイムを行うと、藤波はトップに躍り出ていた。

 

 その後は星野、浜野とつなぎ、13時50分、最後のピット作業を行ってアンカーの藤波がコースへ。追ってくるはずのアウディ勢は接触による遅れやペナルティを受け、藤波は独走態勢に入り最後には2位に5周の差をつけてトップチェッカー! 3日間で延べ3万5,300人のファンが詰めかけたイベントは、2回の赤旗中断こそあったものの重大なアクシデントもなく無事終了した。特にレースの40%ほどをも担当しミスもなかった藤波の成長、これまでの経験からトラブルに対処しペースコントロールに徹した星野のドライビング、そして完璧な仕事をこなしたメカニックを含むスタッフの働きで勝ち取った優勝だった。

 

 チームはこれでボーナスポイントを含む45点を追加し、再びポイントリーダーの座に復帰した。次のレースは7月14〜15日のオートポリス戦。堅実にポイントを加算し、チャンピオンへの道を有利にしたいものだ。

 

浜野彰彦

「全員がそれぞれの仕事をして全員で取った優勝だと思います。序盤から原因不明の振動も出ていましたので、(藤波)清人がゴールするまで安心はできませんでした。今回は4スティント乗りました。ニュル24時間も3回経験がありますが、体力が持つかなという不安も何とかクリアできましたし、これまで目指していたことが叶って本当に良かったです」

 

星野一樹

「夜が明けるまではトップとは同一ラップで見える位置にいればいいから、自分たちのペースを守ろうと話をしていてそれを実行できたことが勝因です。僕の二度目のスティントから振動が出てきて最後まで走れるのか不安で、こんなにファイナルラップを長く感じたのは初めてでした。ニュル24時間で得たノウハウをチームに生かせることができました。最後まで気持ちが高ぶっていて、ほとんど寝ていません。チャンピオンを目指してこれからも頑張ります」

 

藤波清斗

「レースの前に24時間中10時間乗ってもらうぞと監督に言われ、24時間レースは初めての経験だったので、生きて帰れるのかなと本当に心配でした。先輩方はみんな24時間レースの経験者でしたから、いろいろな面でサポートしてもらってありがたかったですし、言われたことをやってミスしないよう走っただけです。本当にみなさんに感謝しています」

 

安田裕信

「今回またこのチームに参加させてもらってもらったのですが、3回目で優勝できてうれしいです。夜しか走ってないんですが、多少は優勝に貢献できたのかなと思います。今回藤波がすごくいっぱい乗ってくれました。彼の実力はずっと知っていたんですが、今回ちゃんと結果を出してくれました。彼はカートの時から面倒を見ていたので、とてもうれしかったですね」

 

スン・ジェン

「GT-R GT3は中国のシリーズでドライブしたこともありますが、初めての日本のレースシリーズでしたから、チームメイトとチームから学ぶことがたくさんありました。決勝レースでは走ることはなかったのですが、良い経験になりました。チームの雰囲気も緊張感も良く、チャンスがもしあれば次は走りたいと思いました」

 

尾本直史チーム監督

「クルマには振動が出ているということでしたが原因が分からず心配でした。24時間を走りきることはメカニックたちの経験値になると思っていましたが、本当に24時間をもたせることができて他では得られない収穫でした。メカのレースだったと言っても過言ではないでしょう。ドライバーもペナルティなく自分たちをコントロールして走ってくれて、久々に会心のレース。次のレースのウェイトはプラス30kgの60kgできついですが、確実に点を拾っていきたいです」

0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59